ヤクビョウ神†天使の微笑み†

「誰だろう。
　この街にしては珍しい服装だけど・・・」

『待って！
　刹那、あの人“霊力者”よ！』

　刹那が土手を下りて行こうとした時、雫が慌てて止めに入った。

「っ！
　確かに、ゴーストもいる」

　２人は急いで土手の上に戻り、その場にしゃがみ込んだ。



　霊力者とは、簡単に言えば幽霊と会話ができる人のことを指す言葉だ。

　だが、ここでは単に幽霊が見えて話ができるだけではない。



　霊魂には不思議な力があるという。

　それは森羅万象に基づくものであり、自然界にあるものを操れる力なのである。

　もちろん雫もその力を秘めている。

　彼女の場合、特に水と縁があり、ゴーストになった今では自由自在に水を操ることができるのだ。



　そういった能力には“霊力”という、生き物全てが生きるために必要とする力で生命力のことを言うが、それが関わってくる。