ヤクビョウ神†天使の微笑み†
 だんだんと雫の姿が薄く、ぼんやりし始めてきた。

 このままでは雫の霊力が切れてこの世からも消えて無くなってしまう!



『私、もう、だめ・・・』

 雫はとうとう刹那の横にパタリと倒れて気を失ってしまった。



 だが、魚たちの攻撃は止まずに次から次へとやってくる。

 と、その時だった。



 突然、どこからともなく笛の音が響いてきて、ゴーストたちの動きがピタリと止まって動かなくなってしまった。

 すると、土手の上で着物を着た少女が、木製の横笛を小さな口に当てて優しいメロディを奏でていた。

 それは乱れた心を落ち着かせてくれるようなゆったりとしたテンポで、子守唄を聴いているように安心感が乱心を覆い隠す感じに包み込んでくる。
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