ヤクビョウ神†天使の微笑み†
 確かに、想像以上もの数のゴーストの群れがあそこには居た。



『彼らたちはあの川から溢れ出る霊力と、あの近くを通りかかる人や動物から霊力を吸い取って存在しているのですよ』

 ゴーストにとって、霊力というのは死してなおも現世に存在し続ける為に必要不可欠なエネルギーである。



「雫はそれが危険値まで下がったことで気を失ってしまったってことですね」

『その通りです。
 だけど、あの状況で雫さんの霊力が全て吸い取られずにいられたことは奇跡と言えます』

 それもそうだ。

 あの幽霊たちの食らいつき方といったら、まるで食糧難に苦しむ今にも餓死寸前の人間のような激しさだった。

 そんな中、魂がまだ自分の中で脈打っていることが不思議に思える。
< 39 / 45 >

この作品をシェア

pagetop