ヤクビョウ神†天使の微笑み†
 雫は慌てて後ろを振り返り、刹那はごめんと言ってゴソゴソと着替えを続ける。



『刹那、本当に大丈夫なの?』

「ああ、風邪のせいで体動かせなかったから、また“この前”みたいなことのためにも体を鍛えとかないと・・・」





 ・・・この前。





 とにかく、あの日のことは夢であってほしいと願うばかりの刹那と雫だったが、今ここに雫がこうしているということは、それを証明せざるをえない事なのだ。



「行こう。
 風邪のこともあるから早めに帰ってこよう」

『あ、うん・・・』



 刹那はシャツの上にジャケットとコートを羽織り、“S”が2つ並んで刺繍されている水色と白のマフラーを首に巻いた格好をしていた。

 玄関の戸を開けるなり、外の光が中へと入り込んできた。



 まぶしい・・・
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