ヤクビョウ神†天使の微笑み†
 この3日間、ずっと外の景色とはご無沙汰だった。



 それは雫が、

『外の菌が入ってきちゃうから・・・』

 と言って、換気の時以外は外の空気を吸うことはできなかったのだ。



 でも今は、

「気持ちいい・・・」

 やっぱり外の空気に限る。



『空気かぁ、もう何ヵ月も吸ってないなぁ・・・』

 雫は懐かしくも羨ましそうな目で空を見上げて1人ため息をもらすと、刹那の方に向き直る。

 目をつぶって、深く深呼吸をする刹那が雫の目に映る。

 優しく風に揺られる前髪が頬を軽く撫でる。



 雫はそれを無言で見つめていた。



「よし、行こっか」

 刹那は雫を振り返って言うと、回れ右をして歩きだす。



『あ、ちょっと待ってよ!』

 その後に雫がフワフワと続く。





 ここはいくつかの家が建ち並ぶ住宅街の道の一角にある、5階建てのマンションだ。
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