日向葵




「大丈夫です、割り箸と紐があれば処置できるんで………それに…………」




「あ、そうなの?じゃあちょっと待ってて」




野球少年は私の話も聞かずに走って行ってしまった




「…………あなたの責任じゃないから練習戻ってって言おうと思ったのに………」





私は隣の花壇のチューリップに水をあげながら野球少年が帰って来るのを待った




「………ハァ、ハァ……はい!……割り箸と紐」




「………ありがと、ございます」



「いいえ!」




人懐っこい笑顔だな………




「えっと………、」




私はブレザーのポケットミサイズの小さい本を取り出したそこにはデカデカと「初めての方の花の育て方」と書かれてある



その本の
「花が折れた時の処置方法」


のページを開いた






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