騎士はキミに恋をする
テラスと玖零羽が
死体を見ていたその頃、
2人の頭上。
200mくらいの高く高く作られた天井の
中間に1人の人影がいた。
13歳ほどの、
小柄な少女だった。
肩ぐらいまでの、
くるくると癖がついたショートカットと、
目が緋色で統一されていて、
目が少し釣り上っていて、
好奇心旺盛な幼い猫を連想させた。
否、彼女はある意味で猫だった。
少女は、
幅15cmしかない天井の出っ張りに
猫のように四つん這いになって、
優雅に下にいるテラスと玖零羽を見ていた。
「ねえ、お父様?
騎士とお姫様って、あそこの2人?」
幼い声は、
誰にも聞こえないように
誰かに向けて発された。
「そうだ。
あの2人だ。」
誰かが答える。
声変わりした、とても低い声だった。