騎士はキミに恋をする
城に帰る帰り道でも、
私とテラスは手を繋いで帰っていた。
べつに繋がなくても
よかった気がしたけれど、
外に出ると、なんだか
さっきまで感じていた熱が恋しくて、
どちらともなく手を繋いでいた。
沈む太陽を背にして歩く。
後ろから見ると、
テラスの茶色の髪は
夕日のオレンジに染め上げられていて、
とても似合っていた。
朝にも通った、城の門をくぐる。
中からたくさんの兵士やメイド達が
迎え入れてくれて、
2人の手はどちらともなく離れた。
テラスは兵士達と一緒に、
玖零羽はメイド達と一緒に、
それぞれ別の場所へと案内された。
私はきっとお風呂だろうなあ。
と思いながら、
今の今までテラスと繋いでいた手を
見つめた。
残っていた熱は
空気に消えていくように
失われていった。
後には自分の体温しか残らなかった。