騎士はキミに恋をする
Ⅲ 傷と紅い魔法
お風呂は、
昨日よりも早く済ませ、
私はまた大きなドレッサーの前で
ドレスを着て、
薄く化粧をされていた。
また食堂まで
あの長い道のりを歩いて、
ご飯を食べて、
またお風呂に入ると思うと、
気が滅入る。
この、銀色の髪と紅色の瞳も、
私を憂鬱にさせた。
でも、まだテラスが
『似合っている』と言ってくれたから、
あんまり変に考えなくて良かった。
むしろ、
好きになりかけている。
テラスのことを考えると、
嬉しくなったり、
憂鬱になったり、
自分がおかしかった。
自分は、一体どうしてしまったのだろう?
そんな玖零羽の思考は、
メイドからの
「化粧が終わった。」との
知らせで中断された。
Ⅲ 護衛と傷と少女の魔法