騎士はキミに恋をする
テラスは眠気によって
薄れていく思考で考えた。
『そこに眠る姫を奪う』
確かにあの黒装束はそう言った。
もぞ、と
腕の中の物が動く。
閉じかけていた瞼を
必死に閉じさせないように、
と、格闘しながら、
腕の中の物を見る。
俺の腕の中にいるのは何だ?と。
そして、
テラスの腕の中で寝ている
玖零羽を見ると同時に、
テラスは眠気に負け、
瞼を閉じた。
こうして、玖零羽の眠りは、
テラスによって
多少呼吸困難を起こしかけたりしたが、
ほとんど
妨げられることはなく、
朝を迎えることとなった。