騎士はキミに恋をする

だけど、死が訪れることはなかった。

得体のしれないものは
テラスを包んだまま
まったく動こうとしなかった。

得体のしれないものから
テラスに伝わる熱は、

テラスにとって、
何処かで感じた、
とても懐かしく優しいものだった。

あの生温かい息遣いは、
今や規則正しく静かに呼吸している。

自分を包む腕に手を伸ばした。

反応らしきものは帰ってこなかった。








< 196 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop