騎士はキミに恋をする
「…っ?!」
深く暗い眠りについていた玖零羽は
不意に頭の中に響いた
テラスの悲痛な叫びに驚いて身を起こした。
頬を触ってみると、
そこには、つい今しがたまで
涙を流していた跡があった。
深く暗い夢の中、
玖零羽は誰かを追いかけていて、
追いついたと思ったら、
自分は光の粒子になって消えてしまった。
最後に聞こえた誰かの声は
自分の名前ではなくて、
もっと別の誰かの名前を呼んでいた。
貴方の側にいたのは
他の誰でもなく自分なのに。
それが悲しくて、
夢の中の自分は泣いた。
そんな夢。