騎士はキミに恋をする
ぐるるるるるる、と威嚇する。
アンジェリーナの体を乗っ取っている
得体のしれない強大な何かに
足がみっともなく震える。
でも、自分の主に害なすものならば
たとえ自分が死んでも守り抜いてみせる。
主を守るため、ミグレットは
アンジェリーナに跳びかかった。
するとアンジェリーナは
ふ、と口の端だけで笑みを作ると、
剣を抜いてミグレットに向かって
ひゅんっ、と軽く剣を振った。
瞬間、
ぶしゅううううううっ
と体中に激痛が走ってミグレットは
アンジェリーナに跳びかかる前に
地面に落ちていった。
「?!」
傷は浅かったが、
まるで蚯蚓腫れのように
全身に走っており動く度にいたかった。
「ふふふ、
竜ごときが我に勝てると思うのか?」
いつもの綺麗なソプラノの声が
今はバスのように低く、
聞き取りにくい声になっている。
ミグレットは
アンジェリーナに向かって
なお威嚇し続けた。