騎士はキミに恋をする
目が覚めると
私はこのまま朝まで
熟睡してしまったことを思い知った。
そして、テラスのベットに
うつ伏せになるように
寝ていたので
なんだか腰や背中が痛い。
あくまでうつ伏せのまま
腕を伸ばしながらテラスの顔を見た。
テラスはまだ夢の中のようで
すやすやと静かな寝息を立てていた。
「あれ?」
ふと、テラスの頬に光るものが見えて
私は手を伸ばした。
拭ったそれは、涙だった。
「…。何で、泣いているの?」
自分にしか聞こえないような声で呟いた
か細い声は溶けるように虚空に消えた。
「私じゃあ、
君の愛した人を超えられないの?」
眠っているテラスに届かないのに、
私はそう言って、
瞳から一滴の涙を流した。