騎士はキミに恋をする
「はーあ、こんな強引に
したくなかったんだけどなあ…。」
ベッドにうつぶせて
無理やりに寝かされた玖零羽を
見ながらそうぼやく。
「丁重に連れてきなさいって言われたのに
お父様に叱られちゃうじゃん。」
そう言って唇を尖らせると、
不意に背後に人の気配を感じた。
でも特に警戒する必要も
驚く必要もなかった。
その気配の正体が
お父様なのはわかっていたことだった。
『少し強引にやってしまったようだね。』
呆れ半分に言うお父様に少女は反論した。
「だって、だって、
コイツ行かないって言うんだもん…。」
泣き目になっている少女に
お父様は優しく微笑んだ。
『仕方ないな、
彼女が行かないと言うなら
こうするしかないよな?』
そう言いながら傍に立つ少女の
頭を片手で撫でる。
それが気持ちよくて
暫し少女はその手に身を任せた。