騎士はキミに恋をする
テラスがユートピアの背中に乗った。
「行くぞ。来い。」
手を玖澪羽に差し伸べながらテラスが言った。
「どこに行くの?」
「どこか。」
そういってテラスは
強引に玖澪羽の腕を掴むと
ユートピアの背に乗せた。
「待ってよ!私、帰らなきゃいけないのに!!」
「どこに?」
ユートピアが翼をはためかせた。
「お前、
もうあの世界に居場所なんて、」
「無いよ!全部無くなった!」
玖澪羽のその言葉を合図に
ユートピアは一気に空へ飛んだ。
玖澪羽の一粒の涙を落として。