騎士はキミに恋をする
「泣くなよ。」
上昇してゆくユートピアの上でテラスは
無言で大粒の涙を流している玖澪羽に
そういった。
「泣いてない。」
「そんな嘘バレバレだ。」
「泣いてないってば!」
玖澪羽がムキになって言うのと同時に
テラスは玖澪羽を抱きしめた。
「ちょ、なっ!?変態!!」
「変態とはひどいな。」
抱きしめたままテラスが言った。
「こんな事いきなりするからでしょ?!」
テラスを引っぺがそうとしながらいう玖澪羽。
「せっかく慰めてやろうと思ったのに。」
案外簡単にテラスは引き下がった。
「余計なお世話。」
そう言い放ちながら
玖澪羽は頬を膨らませた。