騎士はキミに恋をする

「でも良かった。」

テラスが言った。

「何で?」

むくれたまま、玖澪羽が訊いた。

「お前、泣き止んだだろう?」

「ぁ・・・。」

玖澪羽は頬を触ってみた。
さっきまで流れていた涙は、
跡形もなく消えていた。
ただ、少し口の中がしょっぱかった。

ユートピアが雲の中を抜けて、
雲の上に出た。

太陽が近かった。






< 42 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop