騎士はキミに恋をする
城の中をしばらく歩いていると、
一つの大きなドアの前で、
メイドたちが止まった。
栗色の髪をいた若いメイドが
ポケットから鍵の束を取り出し、
そのうちからいくつかを
鍵穴に入れて回した。
鍵穴は全部で5,6個あったが、
栗色の髪のメイドは
全部の鍵を間違えることなく
かちゃ、かちゃ、かちゃと
テンポ良く鍵を開けていった。
鍵が全部開くと、
大きなドアが音もなく開いていった。
中に入ると、
玖零羽がいた日本の銭湯では、
絶対にない脱衣所が
目の前に広がっていた。
まず、異常に広い。
床や壁が大理石のような石で造られていて、
衣類を入れる入れ物が
3つ程しかなかった。
『王族どんだけ』
それが玖零羽の
率直で素直な感想だった。