騎士はキミに恋をする

脱衣所から声が聞こえた。

さっきのメイドたちの雑談だろうか。

耳を澄まして声を聞く。

「----だから、---には、」

「--には、---似合わない」

「やっぱり、------でしょ」

……?
何を言っているのか
途切れ途切れでほとんど分からない。
私の悪口だろうか?

もっと耳を澄ましてみる。

「クレハ様には、
 やっぱりピンクの
 モスリンたっぷりの
 流行のドレスでしょう!」

「いいえ!
 ここは、大人っぽく、
 緑のシンプルなドレスで!」

段々喧嘩腰になってくる会話の内容は、
私にどのドレスを着せるかの
相談らしかった。

「……。」

いや、私は、
ドレス自体着たくはないです。

声には出さずに抗議した。








< 59 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop