騎士はキミに恋をする

キイィィィという音を立てて
ドアが閉まると、
テラスは眼を開けて玖澪羽のほうを見た。

その顔には特に疲れがなく、
さっきと変らずピンピンしていた。

メイドがすぐ手前の椅子を引く。
玖澪羽は、メイドに小さくお辞儀をすると
椅子にちょこんと座った。

やっと一休みすることができて
ホッと一息つく。

「疲れたか?」

不意に向かい側でテラスが
グラスに入った、
透明の液体を飲みながら言う。

「少し。
 てか、それお酒?」

テラスの質問に答えながら、
玖澪羽も質問をする。

「ん?
 これはジュースだが?」

「え?
 お酒じゃないの?」

「なんで未成年の俺が
 酒を飲まなければいけないんだ?」

少し不機嫌な顔で、
テーブルの向かい側に座った、
二十歳を過ぎているようににしか
見えない男の人が言った。

「へ?」

いろいろとショックで、
玖澪羽は素っ頓狂な声をあげた。







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