騎士はキミに恋をする

「じゃあ、
 私ずっとこの色だったの?」

銀色になった自分の前髪を見ながら
さも嫌そうに言う玖澪羽。

まあ、実際、
本当に嫌だったりするが。

「いいんじゃないか?」

ジュースを飲みながらテラスが言う。

「なんで?」

「その瞳の色と髪の色は、
 この世界でいえば、今のところ、
 お前と、もう一人、
 そしてこの世界を創造したと
 伝えられている女神しかいないからだ。」

「へえ、女神さまと同じ色かあ。」

ちょっとだけ嬉しくなる。

「もっとも、
 肌の色は全く違うがな。」

「あんまり似ててもアレだしね。」

「まあ、そこまで女神と一緒なら、
 後々面倒くさいぞ。」

皿に盛られたステーキを
テラスは口にしながら何かを思い出して
さもめんどくさそうに言った。

「崇められるとか?」

「当たりだ。」

ふざけて言ったつもりが
見事に当たってしまって少々げんなりする。

「あと、そこらへんの
 身の程知らずの貴族たちが
 結婚やら何やら申し込んでくる。」

テラスがイラっとしたように言い、

玖澪羽はその言葉を聞いて、
更にげんなりする。











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