騎士はキミに恋をする
女神と思われる女性は
ゆっくりとその瞼を開いて、
その瞳に光を灯す。
瞳の色は、
太陽が西の空に消える直前に放つような
紅の色だった。
女性は桜色の唇で放物線を描いて、
私に優しく微笑む。
そして言う。
「貴女は重い運命を背負うでしょう。」
その微笑からは考えられないような言葉。
女性はその言葉だけを残すと、
仰向けから、
軽やかに立ち上がって、
背中から綺麗な純白の8対の翼を生やし
上空へと消えていく。
青が増す上空へ。
綺麗に、小さく。
私は悲鳴を上げる。
口を大きく開けて、
ただただ一つの文字を連続で叫ぶ。
それはいつまで経っても
途切れることはなく、
私は怖くなって
更に大きな悲鳴を上げた。