騎士はキミに恋をする
玖零羽はこの時、
絶対に朝の頬を抓ったやつの仕返しだ。
と思っていたが、
実際は違かった。
それは、テラスの後ろを
転びそうになりながら歩いている玖零羽には
見えないであろう。
テラスは、
顔を赤くして、
何かがもどかしそうな顔をしていた。
そう、すでにテラスは、
玖零羽に対して恋をしていた。
彼は、すぐに自分は
玖零羽のことが好きなのだと気がついた。
なんですぐに自分が恋をしているのが
わかったのかというと、
「痛っ!」
そこで玖零羽が
小石に躓いて派手にこけた。
「あ、大丈夫か?」
テラスがはっとしたように後ろを向いて
玖零羽を心配した。
「いったいなぁ。」
少し怒ったような声で
玖零羽が言う。
「…すまない。」
テラスがしゅんとしていった。