騎士はキミに恋をする
「…いいよ。もう。」
玖零羽が優しく言った。
何故かあまりに沈んでいるテラスが
可哀想になってきたからだった。
「今度はもう少し、
ゆっくり歩いてね。」
そう言うと、
玖零羽は地面から立ち上がって
離れてしまったテラスの手を掴んだ。
「……?!」
驚いたように繋いでいる手と
玖零羽の顔を交互に見る。
「あぁ、これ、迷子になりそうだから。」
そういって、
玖零羽はつないだ手を軽く上にあげた。
「迷子にしたら、
今度は本気で抓るから♪」
出会ってまだ1日と経っていないが、
今までになく楽しそうに笑う玖零羽を見て、
テラスは背筋に冷や汗が流れるのを感じた。