騎士はキミに恋をする
なんで、手なんか繋いでいるんだろう。
歩きだしたテラスの背中と
繋いでいる手を交互に見ながら
玖零羽は今さらながらに
疑問に思っていた。
ただ単にさっき言った通り、
迷子防止ともいうこともある。
だけど、実はほかにも理由があった。
それは、
ただテラスに触れたかった。
自分でもよくわからない理由に
一人、下を向いて考える。
なんでだろう?
その単語が脳内で乱舞する。
そして玖零羽は、
『やーめた!』
考えることをやめ、
前を向きなおした。
変わりなく前には
自分よりもいくらか高いテラスの背中。
迷うことなくまっすぐ進むテラスは
どこに行くのだろう?
その思考を最後に、
私は目の前に広がる知らない街並みを眺めた。