純愛ワルツ
綾瀬 胡桃(あやせ くるみ)ちゃんって言うのか。

可愛い名前だな。



今、高校3年生なのか。
俺よりひとつ年下なんだ。




走りながらちゃっかり彼女の生徒手帳を見た。




生徒手帳に貼られている証明写真の彼女にウットリしていると

フワフワのセミロングヘアの後ろ姿が見えた。





何て声掛けよう!?


胡桃?
胡桃ちゃん?
天使ちゃん?
可愛い子ちゃん?



ダァーッ!!

違うだろ、俺。




たかが、女の名前呼ぶくらいで動揺してんじゃねぇよ。




「あ…あの!綾瀬さん!!」



咄嗟に叫んだのは…名字。


俺の意気地無し。




「…はい?」



振り向いた麗しの彼女。


本当ヤベーって。
この子、道歩いちゃダメだって。




「忘れ物ですよ」



平然を装って彼女に生徒手帳を差し出すと

彼女は恥ずかしそうにソレを受け取った。
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