純愛ワルツ
「中入ろうか」


「…はい」



バツが悪くて少し俯きながら、茜くんの少し後ろを歩いた。




会場の入口で係員にチケットを渡し、ワンドリンクのチケットを貰って中に入ると


中はたくさんの人でごった返していた。




「うるせぇし暑いな、ここ」

「ですね」



絶対、顔テカるよ〜。


油とり紙持ってきたっけ?





「バー混んでて危ねぇから、俺がドリンク受け取ってくるね。胡桃はここで待ってて」


「はい、お願いします」




手に持っていたチケットを茜くんに渡し、空いてるスペースに移動した。




本当に暑いな。

お客さんの熱気が凄いんだね、きっと。



煙草とキツい香水の匂いも充満してて、ちょっと酔いそう…。





少しクラクラする頭を壁につけ息を吐くと、誰かに肩を叩かれた。




「はい?」


「キミ、超可愛いいね。どのバンドのファンなの?」



後ろにいたのは、見知らぬ男の人2人。


ちょっとお酒臭い。
< 28 / 144 >

この作品をシェア

pagetop