純愛ワルツ
「ちげぇの?…ふーん」


「何スか?」


「綺麗な子だな」


「あ?誰が?」


「一緒に来た子だよ」




天音?


確かにあいつ、美人っちゃ美人だよな。



俺のタイプではねぇけど。



……胸以外。





「あの子、彼氏いんのか?」


「いたら俺といないでしょ」


「だよな」



吉澤先輩は天音を見てポ〜っとしている。



こりゃ惚れたな。




「先輩、ベースが恋人じゃなかったの?」


「ベースは抱けねぇだろ」



それ、俺のセリフ。





「まさかドストライクの女の子がいるとは思わなくてよ」


「あっそう。それより注文…」



そう言うと、先輩にグイっと胸倉を掴まれた。




「お前、この間の恩を忘れたとは言わせねぇよ」



この間の恩?




「忘れた」

「テメェ…!」



コーヒーポットで頭を小突かれた。



アンタ…

商売道具で何て事を




「てか、この俺にキューピッドなんて出来ると思います?」


「…思わねぇ」


「だろ?…呼んで来てやるから、自分でアド聞くなり食事に誘うなりして下せぇ」


「いや…いきなりそんな事は…」




うわっ…キモっ!


顔に似合わず照れてやがる。



鳥肌立っちった。
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