純愛ワルツ
俺はそのままレジに向かい、会計を済ませた水着を胡桃に渡した。





「はい、胡桃」


「すみません。お買い物付き合って貰った上に買って貰っちゃって…。水着、高いのに」




俺が勝手にしたことなのに、胡桃は心底申し訳ないと言った顔をする。




好意だって伝わってないよう。





「こういう時は、ありがとうって笑えばいいんだよ」


「え?」


「胡桃の笑顔が見れるなら水着なんて安いもんだ」




たかが1、2万の水着と胡桃の笑顔じゃ価値が違うもんな。





「あっ…ありがとうございます!大切にしますっ!」

「うん」




胡桃になら全財産、全人生賭けてもいい!




その後、2人でショッピングモールをブラブラしてからLOVE SICK cafeに足を運んだ。





「よぉ。デートの帰りか?」




カフェには吉澤先輩。




…アンタ、見飽きたよ。





「茜くんに水着買って貰っちゃいました」


「よかったじゃねぇか、胡桃」


「はい!茜くんは優しいです」




ぽ〜っと胡桃に見惚れていたら、チョイチョイと先輩に手招きされた。





「何スか」


「お前、変な水着選んでねぇだろうな?」


「は?」




何言ってんだ、このオッサン。





「だから、胸がガバッと開いてるのとかケツが食い込んでるのとか!」


「ンなの選ぶワケねぇだろ!!他の男にそんな姿の胡桃、見せられっか」





ただでさえ水着姿の胡桃を他の野郎に見せるのも嫌だってーのに。
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