純愛ワルツ
「今日は誕生日だからな、大目に見てやる。…胡桃を楽しませてやってくれ」




窓から顔を出し、そう呟いたお兄ちゃんは軽く手を挙げると、その場から立ち去った。





「…お兄様が優しい…。何で!?逆に恐いよ、アレ」


「あはは!確かに」




そう言えば昨日から様子が変だったな、お兄ちゃん。


何でだろう?






「それじゃあお兄様の許可も貰えたし行こうか。荷物持つよ」




茜くんは私の荷物を持ち上げると肩に掛けた。





「重くないですか?」


「大丈夫。何なら胡桃も担いで行くけど?」


「い…いいです!歩けますっ!!」




茜くんは悪戯に笑うと、手を繋いでくれた。




こう、さりげなくエスコートしてくれる感じが大人だなぁ。



あ。

私、手汗掻いてないかな?


大丈夫かな?





「そうだ、ケーキ買ってかないとね。LOVE SICK cafeのでいい?」


「はい!LOVE SICK cafeのケーキ美味しいですもんね」




本当は『私が作ります!』って言えればいいんだけど


ケーキなんて作った事ないし…。




これからはもっとお料理の勉強しなきゃだね!






「おう、ちょうどいい所に来た」




LOVE SICK cafeに入ると、いつものようにカウンターによっしーがいた。





「ちょうどいい所って、何スか」


「これ、親父から」


「店長から?」




よっしーは茜くんに大きな白い箱を渡す。
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