純愛ワルツ
「胡桃は泣いたり笑ったり照れたり…見てて楽しいよ。それにね」




茜くんはこっちを見ないようにしてくれながら


優しい声で呟いた。






「やらしい事がしたいから胡桃といるワケじゃない」




うっ…。


今、凄くキュンと来たよ。





変に緊張して恐い程ドキドキしていた胸が

今は幸せなドキドキで高鳴ってる。





私、茜くんを好きになって

本当に良かった。








1人になった洗面所で鏡を覗くと


先程キスをされた首筋に


赤い印が付いていた。






「…キスマーク」



そっと首筋をなぞると

その一点だけ、熱を帯びていた。




……嬉しい。





タトゥーみたいに

ずっと、消えなければいいのに。






「着替え終わりました」




リビングに戻ると、茜くんはソファに寝そべっていた。



寝てる?




「茜くん?」




顔を覗くと茜くんは目を閉じて眠っていた。




わっ…睫毛長い。


本当綺麗な顔してるなぁ。





普段は大人っぽい茜くんも寝顔はあどけない。





「…茜くん、大好きです」




つい、チュッと頬にキスをしちゃった。



私達以外誰もいないって分かってながら、何だか恥ずかしくてキョロキョロ辺りを見渡した。
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