純愛ワルツ
「誕生日おめでとう、胡桃」


「茜くんもお誕生日おめでとうございます」




2人でパチパチ拍手をしたりハイタッチをして喜んでいると


茜くんが私にベルベット調の赤い小箱を差し出した。




「誕生日プレゼント」


「わっ!ありがとうございます。開けてもいいですか?」


「どうぞ」




パカっと箱を開けると


中にはハート型のピンクのジルコニアが付いた指輪が入っていた。





「可愛い…」


「安物でごめんな」


「そんなっ…凄く嬉しいです!!」




誕生日を教えたのは2日前で時間なかったのに探してくれたこと。


一人暮らしでお金だって色々使うのに買ってくれたこと。




その気持ちが嬉しいんだよ。





「嵌めてあげるから、こっちおいで」




ソファに座る茜くんの前にひざまずいて手を差し出すと


茜くんは薬指に指輪を宛がう。





「あれ、入らねぇ!?手繋いだ時、指のサイズ確かめたハズなのに」




暫くグリグリと指輪を捩ると

クッと第二関節を通り抜けた。





「よし、入った。これで本当に胡桃は俺のものだな……って、何で泣いてるんだよ!?無理矢理入れたから指痛かった?」




分からないよ。


嬉しいのに
何で涙が出ちゃうのか。




幸せ過ぎたり、嬉し過ぎると

心からそれが溢れ出しちゃって


涙に変わるのかな?





なんて幸せな泣き方だろう。




「やっぱり胡桃は見てて飽きないな」




茜くんは両手を伸ばして私の体を包み込んでくれた。



その仕草にまた泣きたくなる。
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