純愛ワルツ
「胡桃は去年までは、どんな誕生日を過ごしていたの?」



抱きしめながら優しく髪を撫でてくれる茜くん。




「毎年誕生日は…お兄ちゃんと2人でケーキ食べて、花火して…天の川探したりしてました」


「そっか。双子だからお兄様も誕生日同じだもんな。…あっ、じゃあ今年はお兄様、1人なのかな」




あ…


私、自分のことしか考えてなかった。




お兄ちゃん、どうしてるのかな。




もしかしてお兄ちゃんが昨日から優しかったのは…






「よし、今から胡桃ん家行くか」


「え?」


「誕生日にお兄様を1人にしてるなんて胡桃も気が気じゃないだろ?」




…うん。


頑固で過保護でたまに煩わしいお兄ちゃんだけど


私の大好きなお兄ちゃんだもん。




1人になんかさせちゃダメだ。





「丁度いらねぇケーキもあるし」



茜くんは冷蔵庫から大きな箱を取り出した。




「茜くん、ケーキ用意してくれてたんですか?」


「違う、違う。天音に貰ったんだよ」




天音さん…?




やっぱり天音さんも

茜くんの事が好きなんだよね?





茜くんは、あんな綺麗で優しそうな人じゃなく


どうして私を選んでくれたんだろう…。






「こういうのを有難迷惑って言うんだろうな」




じゃあ何で受け取ったの?


…なんて、可愛くない嫉妬しちゃったよ。
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