純愛ワルツ
「どうして泣くの?」


「…私っ…茜くんが他の女の人の事を大切に想うの…嫌ですっ」




でも、こんな可愛くもない嫉妬をする自分はもっと嫌。





「大切な人は確かにいっぱいいるけど、俺にとっての特別は胡桃だけだよ」




茜くんは頬に流れる涙をチュッとキスで拭ってくれた。


頬っぺが熱を帯びるのを感じる。





「こんなに誰かに夢中になったのは胡桃だけなんだ」



私もだよ。


人をこんなにも好きになれるという事も

こんなにもヤキモチを妬くんだって事も



茜くんを好きにならなかったら知ることが出来なかった。




知らなきゃ良かったと思っちゃう事もあるけど、茜くんが教えてくれるなら


どれも幸せな気持ちだよ。






天音さんと同じ気持ち…。

茜くんを好きになって良かった。



私もそう想う。





「…11時か。そりゃ腹減るよな」


「何処かに食べに行きますか……って!11時!?」




学校の存在忘れてたぁ!!


もう午前の授業が全部終わっちゃうよ!!




わ〜…どうしよう。





「胡桃、今日平日だから学校か」


「茜くんは大学じゃないんですか?」


「今日は講義入ってないから休み。レポートやんなきゃだけど」




医大生だもんね。


お休みの日でもやっぱり課題があるんだ。
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