純愛ワルツ
「じゃあ行こうか」




茜くんは私の手を握って持ち上げると、指輪にチュッとキスをしてくれた。



わぁぁ…

王子様みたい。





何をするにもスマートな茜くんにドキドキしながら


近くのファミレスに向かい、すぐに色々注文して空腹を満たしてからホッと一息ついた。





「私、好きな人とこうやってファミレスに長時間いるのに憧れていたんです」




お洒落なレストランじゃなくてただのファミレスだけど


その気の利いてないシチュエーションが逆に特別な感じがするから。






「じゃあ胡桃が憧れてる事、これから一緒にひとつずつ叶えていこうな」


「はい!」




茜くんとだったら一緒にいるだけで、何気ないことや平凡なことが


全て特別に感じるよ。








夕方になり、今日は早めに家に帰る事にした。


茜くんもバイトだからね。





「明日もバイトありますか?」

「いや、明日は休み」




そっか…。



じゃあ明日は会えないんだ。


寂しいな。





茜くんといると時間が経つのが早くて

もっともっと、一緒にいたいと思ってしまう。




…私って欲張りなのかな?





「胡桃も明日学校終わって用事がないなら、またウチ来る?」


「いいんですか?」


「もちろん。1日胡桃に会えないなんて、俺耐えられねぇもん」




少し赤くなってそう言ってくれる茜くんを何だか可愛く思えた。
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