笹倉さんの恋愛事情
「日本昔話?」
僕は大企業の跡取りであり男子の成績は常にトップだ。
何故か男女別々で成績のランクをつけてるので総合は知らないが。
運動だって空手黒帯で中学の頃に東京マラソンに出たくらい体力も肺活量もある。
基本的な家事は何でもできるし絵の才能もある
何でもできる、いわば天才というやつであろう僕が何故、
1時間目「日本昔話?」
今は国語の時間。
国語は担任である大和先生が担当している。
が、
「金太郎は熊を倒せるだなんて言うが、それならよっぽど鬼を退治した桃太郎の方がすごいと思うんだ。そこで皆で話し合っていこうと思う。」
なんでそうなる。
真面目に授業しろよ。
まあ大和先生だから無理なんだろうけど。
「先生、金太郎の話なんて覚えてません」
「そんなこともあろうかと、ちゃんと金太郎の話印刷してきたから。ちなみに桃太郎も」
本当に無駄な努力だと僕は思う。
「さあ、皆考えてくれ!俺に力を!!」
「先生、それはドラ●ンボールです」
「先生、それは光合成です」
「いやいや、違うから。これ元気玉だから」
とかいう会話を耳にしながらも考える。
―まあ確かにそういわれたらそうかもしれない…いや待てよ?住む世界が違うんだから強いのレベルが違うのではないだろうか。
僕は意見を出そうと顔を上げて質問しようとした時、
「先生、金太郎の名前の由来がわかりました。」
「…何なの?その名前の由来って」
僕の隣の席である笹原さんが先に先生に質問をした。
実はこの頃少し気になっているというのは秘密だ。
すると笹原さんがきらきらと目を光り輝かせ、無表情ではあるがいつもとはすこし違う力強い口調で言った。
「金太郎は、金から生まれたから金太郎なんです」
すると珍しくクラスに沈黙が訪れた。
変な理屈だと思っている人もいるかもしれないが、俺は結構深いとおもった。
つまりは笹倉さんは桃太郎と金太郎を関連づけて考えたのだ。
「先生、座布団1枚持ってきてください。」
「何で俺に頼むんだよ!!」
そして国語の時間はあっという間に終わってしまった。