ラストライフ
「全く何も覚えてないのかい?」






アレクは手際いい動きで、火を起こすために幾分湿った枝を準備をしつつ、静かな口調で言った。






問いただす風にならないように気がけていた。




「うん、何にも・・・気付いたらそこに立ってたんだ・・・」





憂いのこもった美しい鈴の音の様な声が響いた・・・同時に黄燐を擦る炎が生木に火をともした。




勢いよく煙りと炎が上がると周りがぱっと暖かな色に染まった。




「そうか・・・・」
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