真夜中の流れ星


どさっと荷物を床に置き、私は奥へ進む。
それが目に入ると、まとう布をばさりと剥がした。

凛とした存在感で、楽器の中でも大きな部類。
黒と白のモノトーンという単調な色合い。
触れるとひんやりとしているけど奏でる音色は柔らかくて暖かな…そんな『ピアノ』が私は大好きだ。

椅子に座り、鍵盤と向き合う。
ぽんと弾くとピアノ独特の音がする。
私は何度かそれを試してからようやく曲を弾く。

この時間が一番楽しい。
無心でいられる。

朝一だからまだ指は硬いけれど、それでも思ったように弾ける。
わーってピアノの音が響いて心が、体が、それでいっぱいになる。




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