私のご主人様
少しずつ
顔が離れていった。
「ごめん。もう我慢できねえ」
「へっ?」
私の目の前には
見たことのない流がいた。
なんでそんな
顔が赤いのかな?
なんでそんな
少し困った顔を
してるのかな?
「…お前んこと…好きだ」
流の口からは
そんな言葉が出た。
―ぎゅっ
流が口に出した言葉を
理解する暇もなく
流の胸の中へと
抱き寄せられた。
「優…俺のものになってくんない?…他の男になんかやりたくねえ」
時間をかけて
一つ一つの言葉の意味を
理解した。
「…はい」
震える声で精一杯の
返事をした。
好きな人と想いが
通じ合うということが
こんなにも
幸せだということを
初めて感じた
16の秋の終わりでした。