本と階段


「…あのさ、何でまた此処に来たの?」


やっぱり彼は本を読みながら私に対して問い掛けてきた。


『(何で?どうしよう…、私も何で来たのかがわからないかもしれない…)』


「…あぁ、わかった。ガム踏むためか」


『…!ちっ違う!それは流石に無い!!』


「そうなんだ、残念…。」


彼は本から顔を上げて私を見ながら、言ってくれた。

『(あれ?普通に会話が成立してる…??と、言うより、残念?)』



「まぁ、何でもいいや。」


『(えっ、自分から聞いてきたのにそれで良いんだ…)』


「煩く無ければ、だけど」


彼は本から顔を上げてまるで嫌いな物を見るように、睨みながら私に言ってきた。


私はこの前座った椅子に腰をかけて、少し時間を置いてから、前回からずっと思っていた疑問を投げ掛けた。


『…、あっ、あの、何で此処で本読んでるんですか?』



彼は本から顔を上げずに言った。



「図書館、隣に公園出来てから、無駄に深部に来る人が煩くなったから?」



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