イネ
・・・このころからでしょうか。誰もが、一条を「銀座の金さん」と呼ぶようになりはじめた。銀座で1,2を競うほどのお金の使いっぷりであったのだ。と、同時に、銀座一の色男として、どのホステスからも引っ張りだこである。毎日、束の領収書を集めて回るのがイネの仕事の一つであった。今では大物の俳優や政治家も、当時はお金がなく、銀座の金さんにくっついて歩いては、もらい酒をしていた。
「金ちゃ~ん。酒飲ましてくれよ~。濃い酒飲みたいんだよ~。」
「おお、しげ!いいぞ。じゃ、どこ行くかな。」「濃い酒と、綺麗なおねえちゃん拝みたいなあ・・・」「ハハッ、わかったわかった。じゃ、銀座一の店に連れてってやる。」「金ちゃん、舞台あるんだけどチケット買ってくれないかあ・・・」「チケットか。何枚だ?・・・というか、いくらで買ってほしんだ?」
「2万くらい買ってくれると助かるんだ。」
「そっか。了解!心配せずに、今日はゆっくり楽しめ・・・」・・・優しいのは、女性にだけではないようで、誰にでも優しく面倒見がいいのである。

< 18 / 18 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop