Moon is SMILE.
すぐ後ろに、愛月さんが立っていた。
あわわ、まずいよ、近いですよ-!
「ね?」
そう言って愛月さんは、奈琉美の手をとって、さっと回し始めた。
 でも…。なんか、視線を感じる…。…紗英がやきもち妬いてんのかな。
奈琉美はあんなに悪戦苦闘したのが嘘のように、あっという間にのばしきってしまった。
「すごいですね…」
タンクトップからのびた2本の腕は、きっ、と引き締まって、力をいれるとむきっ、とした。
「そんなに見ないで。恥ずかしいから」
そう言われてやっと、愛月さんの腕を見つめていたことに気がついた。
「わあっ、すいませんっ」
ほっぺがカアアッと熱くなった。
「じゃあ、あっちのゴ-ルもやろうか」
そう言って、愛月さんは歩き出した。
これって、ついていくべき?
「奈琉美ちゃんはさぁ、いつからバスケを始めたの?」
愛月さんが、こっち来て、と手招きしていた。
「はい、えっと…5年生からです」
愛月さんの隣に並ぶ。
「えっ?意外と遅いんだね」
「そうなんです…。今は、バスケがすごく楽しくて、もっとはやく始めてればって感じです」
他愛ない話だけど、なぜか楽しかった。 ゴ-ルをのばしきってから、倉庫まで一緒に歩きながら話した。

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