Moon is SMILE.
「どうしたんですか…?」
愛月さんは奈琉美の前で止まると、スッと、慣れたような手つきで奈琉美の両肩をつかみ、後ろに下がらせた。
「あっっ…」
すぐ後ろに、高跳び用のマットがあった。膝かっくんの要領で、マットに座らされる。
「愛月さっ」
愛月さん、と言いかけたところで、唇をふさがれた。
しっとりとした、柔らかい感触…。
「ダメですよっ…!」
ぐっと肩を押して、唇を離す。だって、愛月さん彼女いるって…。
「いいから。頼むよ…」
「あっ」
また唇がふさがれる。
「――っ!」
愛月さんの息が、奈琉美の口の中に入り込む。そして、柔らかな舌も…。
息が続かない。
「あぁっ…んっ…」
やっと口の端で呼吸をすると、自分の声とは思えないような甘い声が漏れた。
だんだん、舌の動きが激しくなる。声が、甘くなっていく。
「ひぁっ…ぁあっ…」
次の瞬間、愛月さんは奈琉美をキスしたまま押し倒した。
ちょっと待ってよ、愛月さんは何をしようとしてるの?
「愛月さっ…ぁんっ、」
一瞬離れた唇が、またすぐにくっつく。こんなところで…。紗英が来たらどうしよう。
「奈琉美ちゃん」
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