君にハートを盗まれた。
第一章

一目惚れの恋

5月の暖かい風が吹き始めた放課後の屋上。


花びらがヒラヒラと風に吹かれて散るように、あたしはきょう失恋した。



「す、好きです。」

勇気を出して告白したあたしの恋は


「俺には、他に好きな女がいるから」


彼のその一言で、見事に散ろうとしていた。


普通なら、ここで「はい。諦めます」と言うのだろうが

あたしは、いや。この恋は違っていた。

「だけど、好きなんです」


彼の言葉は予想していた。彼に他に好きな人がいる事ぐらい…分かっていた。

 それでも…この気持ちを伝えたかったんだ…。


 あなたの事が大好きになってしまったから…。


あたしの目の前には、呆れたような顔で真っ直ぐあたしの瞳を見つめる綺麗で、ちょっぴり切ない彼の瞳。


その瞳が、あたしの心を掴んで放さないから


あたしは、あなたを諦められる事ができないんだよ。




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