君にハートを盗まれた。

やだよ…聞きたくないよ…。

気にしないようにしてた。

忘れようと思ってた。


だけど、本当はずっと不安だった。

先輩の心の中に、優花先輩が今もどこかにいるんじゃないかって。

不安だった。

ワザと考えないようにしたのに。

気にしないようにしてたのに。


「やめて…ください。それ以上…言わないで…」


絞り出すような声で言った。


先輩は、あたしが好き。

先輩が好きなのは、あたしだけ…。


何度も自分に言い聞かせるように心の中で繰り返して呟いた。



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