君にハートを盗まれた。
「市川くん…委員会は?」
宮沢先輩が、顔をひきつらせながら言った。
「クラスメートが教えてくれたんだよ。お前たちがヒカリを裏庭で囲ってるって」
そうだったんだ…。安心したら、膝の力が抜けてガクガクと震え始めた。
「大丈夫か?」
あたしを支える先輩。
「ちょっと待っててな」とニカッと笑うと
先輩は、宮沢先輩達からあたしを庇うように背中に移動させた。
オレンジ色の夕日の光に照らされた先輩の背中。
広くて、大きくて、逞しいや…。
「なんでこんな事したんだよ?」
静まり返った空間に、先輩の声が響き渡った。
「だって…市川くんが…」
宮沢先輩が声を震わせながら小さな声で呟いた。
「俺が、なに?言ってみなよ」