君にハートを盗まれた。
長いキスの後。あたしの手を引いて歩き出した先輩が、振り返り
ふと視線を下に移した時
「怪我してるじゃないか」
顔を青ざめて言った。
「あっ…これぐらい大丈夫だよ」
先輩から言われるまで、怪我してるの忘れてた。
「大丈夫じゃないだろう!?」
慌てる先輩に、あたしは「こんなのすぐに治るよ」血も止まってるしと脳天気に言うと
「消毒しなきゃダメじゃないか」
そう言ったかと思うと、あたしをヒョイと抱き上げて保健室まで早歩きで連れて行ってくれた。
いわゆる…お姫様抱っこで。