君にハートを盗まれた。
保健室に着くまで、何人かの生徒とすれ違い、カナリの注目を浴びたけど


先輩は、全く気にしない。

「先輩…あたし歩けるから、下ろして」

恥ずかしくて、そう言っても「ダメだ。ジッとしてろ」だけ言って、保健室の前でようやく下ろしてもらえた。


「大丈夫か?」


「うん」


あぁ~お姫様抱っこなんて初めてだったから。


ホント…恥ずかしい。顔、完璧に茹で蛸だよ。



「ちょっと待ってろな」


先輩の言葉に、真っ赤な顔で頷く。


先輩がノックをしてドアを開けると、保健室の中には誰もいなかった。


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