君にハートを盗まれた。

「ちょっと待ってろな」なんて言いながら探す先輩の背中。


広くて、逞しい。



前から先輩の背中は広いなって思ってたけど


きょう改めて、広くて。そして逞しく感じた。



先輩の背中を見ていると、その広くて逞しい背中にしがみつきたくなる…。



ちょっとぐらい…いいかな?


なんて。自分からしがみつく勇気ないのに。


何考えてんだか…。


だけど…しがみつきたい。


先輩の背中をジーと見つめていると



「そんな、あんま見るなよ…恥ずかしくなるじゃないか…」


クルッと振り返った先輩。手には消毒液と丸い脱脂綿を持って、耳を赤くしながら、あたしに近づいてきた。




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